芭蕉db

淋しさや釘に掛けたるきりぎりす

(俳諧草庵集)

(さびしさや くぎにかけたる きりぎりす)

静かさや絵掛かる壁のきりぎりす

(句空宛真蹟書簡)

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 元禄4年9月、膳所の義仲庵にて。この作成の経緯は、句空宛書簡に詳しい。

淋しさや釘に掛けたるきりぎりす

 句の意味は、「句空宛真蹟書簡」の句の方が分かりやすい。推敲を重ねているうちに絵とコオロギとの関係が薄れ、世捨て人の世界が深く透明になっていった。
秋の色糠味噌壷もなかりけり」と同じ動機で作句された。