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二ツにわれし雲の秋風トやらんなり          正秀
   
中れんじ中切あくる月かげに      去來

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   二ツにわれし雲の秋風
トやらんなり         正秀
   
中れんじ中切あくる月かげに      去來

正秀亭の第三也。初ハ竹格子陰も●●●に月澄てト付ケるを、かく先師の斧正し給へる也*。其夜共に曲翠亭に宿す。先師曰、今夜初正秀亭に會す。珍客なれバほ句ハ我なるべしと 、兼而覺悟すべき事也*。其上ほ句と乞ハヾ、秀拙を撰ばず早ク出すべき事也*。一夜のほど幾ばくかある。汝がほ句に時をうつさバ、今宵の會むなしからん。無風雅の至也*。餘り無興に侍る故、我ほ句をいたせり*。正秀忽ワキを賦す。二ツにわるゝと、はげしき空の氣色成を、かくのびやか成第三付ル事、前句の●をしらず、未練の事なりと、夜すがらいどミたまひける*。去來曰 、其時月影に手のひら立る山見えてト申一句侍りけるを、たゞ月の殊更にさやけき處をいハんとのみなづみて、位をわすれ侍る申*。先師曰、其句ヲ出さバいくばくのましならん。此度の膳所のはぢ一度すゝがん事をおもふべしと也*。


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