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振舞や下座になをる去年の雛

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振舞や下座になをる去年の雛     去來


此句ハ予おもふ處有て作す。五文字古ゑぼし・紙ぎぬ等ハ謂過ぎたり*。景物ハ下心徹せず。あさましや・口をしやの類ハはかなしと、今の冠を置て窺ひけれバ*、先師曰、五文字に心をこめておかバ、信徳が人の世や成べし*。十分ならずとも、振舞にて堪忍有可と也*。