芭蕉db

千那・尚白・青鴉宛書簡

(貞亨2年7月18日 芭蕉42歳)

書簡集年表Who'sWho/basho


      別帋*
坂本に而一宿、早苗に鹿を追声、御なつかしく覚候*。坂本の鹿、いづれの秋にかと存る計に御座候*。罷帰候へば*、又いつ上り可申様にも無御座*、一入一入御ゆかしきのみに候。
   下向之比、桑名本当寺御会に*
  薄を切て笘(苫?)に茨けり
 琵琶負て鹿聞に入篠のくま
   坂本を心の底に置候か*
   熱田の会に*
  独書を見る草の戸の内
 二町程西に砧の聞ユ也
重而委細に書付可之候*
   七月十八日
 千那叟
 尚白士
 青鴉丈

 本書簡は、近江蕉門の弟子三人に宛てた返書である。千那<せんな>・尚白<しょうはく>・青鴉<せいあ>の三人とも、『野ざらし紀行』の旅で大津を訪れた芭蕉に会い、その場で入門した者達である。