芭蕉db

許六宛書簡

(元禄5年12月15日 芭蕉49歳)

書簡集年表Who'sWho/basho


辱拝見*。一昨日岱水に被指置候御細翰、拝見*。頃日は別而寒気甚敷*、随分こまり申候へ共、いまだたふれ不申候間、先堅固と申物に而御座候。
一、歳旦*の義(儀)、御尤に存候。白馬之玉句、いかにも歳旦とは難聴候。其上、白馬信州より被牽候事、無覚束*。久々書物手にふれず候へば、萬おろ覚えに成申候。右馬・左馬寮より中門に引入、御白砂に牽渡ス様に覚申候*。いかゞ、其元に御覚之事も御座候はゞ、句作御相談、歳旦に成様も可有御座候*
多賀の詔訴(訴訟)人は珍重に存候*
頃日風吹続候而、方々日限相乱*、十二日にも他出いたし候。明日七つ時分までは在宿可致候。兎角貴面御相談、仕候はゞ、すみやかに埒明可申候間、御苦労被成まじく候*
桃隣三つ物は○無用に存候間、やめにさせ申候*。先日煤掃はぜゞ引付に入遣候*。 以上
   十二月十五日
尚々、明日飯後草々御出被成、七つまへ迄御かたり候様に御出可成候*。とても年内は緩々とは被御意申まじく候*。其角方、拙者句もとりに不参、いまだ遅なはり不申候間、御せき被成まじく候*

 

 深川芭蕉庵から許六に宛てた現存する2通目の書簡。歳旦帖に掲載する許六の句についての意見、およびそれについて会う予定の連絡が本書簡の目的である。