御先に立候段、残念可レ被二思召一候:<おさきにたちそうろうだん、ざんねんにおぼしめされそうろう>と読む。私が先に死ぬことを残念に思われることでありましょう。
又右衛門:兄半左衛門の息。最後の旅伊賀から大坂まで又右衛門は伯父の芭蕉の供をした。1泊2日の小さな旅であったが、このとき伯父と甥は、優しい心を通わせ合ったことであろう。
御年被レ寄、御心静に御臨終可レ被レ成候:<おとしよられ、おこころしずかにごりんじゅなさるべくそうろう>と読む。兄上には、何時までも長生きをなさって頂いて、その後に心静かに死に臨んで欲しい、の意。
市兵衛:貝増卓袋のこと。以下の二人を含め、実家の松尾家の後見を願い出ている。松尾家は、この頃は少し持ち直しているが、半左衛門の先妻の病気もあって家運が傾いていた。
意專老:窪田意専。
重左衛門殿:山岸半残
半左殿:服部土芳
新蔵は殊に骨被レ折、忝候:<しんぞうはことにほねおられ、かたじけなくそうろう>。新蔵は片野新蔵。伊賀上野の井筒屋主人。俳号望翠。