露霜にしほたれて、所定めずまどひ歩き*、親の諫め、世の謗りをつゝむに心の暇なく*、あふさきるさに思ひ乱れ*、さるは、独り寝がちに、まどろむ夜なきこそをかしけれ*。
さりとて、ひたすらたはれたる方にはあらで*、女にたやすからず思はれんこそ*、あらまほしかるべきわざなれ。
まず、恋をする男を肯定し、その肯定の程度は、女性に夢中になって悶々とするのも良いという。
だが、もっといいのは女性にもてることだと言う。まあ、当たり前と言えば当たり前で、そのためににはどうすればよいとは書いてないのだから、この段も大して参考にはならない。
よろずにいみじくとも、いろこのまざらんおとこは、いとそうぞうしく、 たまのさかずきのそこなきこゝちぞすべき。
つゆしもにし おたれて、ところさだめずまどいありき、おやのいさめ、よのそしりをつゝむにこころのいとまなく、あうさきるさにおもいみだれ、さるは、ひとりねがちに、まどろむよなきこそ おかしけれ。
さりとて、ひたすらたわれたるかたにはあらで、おんなにたやすからずおもわれんこそ、あらまほしかるべきわざなれ。