芭蕉db

保美の里

(貞亨4年11月12日:44歳)

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  此里をほび*といふ事ハ、むかし院のみかどのほめさせ玉ふ地なるによりて、ほう美といふよし、里人のかたり侍るを、いづれのふみに書きとヾめたるともしらず侍れども、かしこく覚え侍るまゝに、

梅つばき早咲ほめむ保美の里

( うめつばき はやざきほめん ほみのさと)

いらござきほどちかければ、見にゆき侍りて、

いらご崎にる物もなし鷹の声

( いらござき にるものもなし たかのこえ)

                  武陵芭蕉散人桃青


 『笈の小文』の旅の 途次、渥美半島保美の里に流罪となっていた最愛の門人杜国を訪ねた折に書いたものらしい。土地のボスにでも書いて与えたものか。