芭蕉db

笈の小文

(唐招提寺)


 招提寺鑑真和尚来朝の時*、船中七十餘度の難をしのぎたまひ御目のうち塩風吹入て、終に御目盲させ給ふ尊像*を拝して、

若葉して御めの雫ぬぐは ヾや

(わかばして おんめのしずく ぬぐわばや)


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表紙 年表


若葉して御 めの雫ぬぐはヾや

 唐招提寺は天平勝宝6年鑑真和上建立の寺。国宝鑑真和上像を見て詠んだ句。この柔らかい若葉で鑑真上人の見えなくなった目の涙を拭ってあげたい。
 「若葉して」という日本語は珍しい。季節も若葉の季節だが。


唐招提寺にある句碑(牛久市森田武さん撮影)