芭蕉DB

野ざらし紀行

(おわり)


 卯月の末、庵に歸りて旅のつかれをはらすほどに、

夏衣いまだ虱をとりつくさず

(なつごろも いまだしらみを とりつくさず)

――――「野ざらし紀行」おわり――――


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表紙年表


夏衣いまだ虱をとりつくさず

 貞亨2年4月下旬、「野ざらしを心に風のしむ身かな」と野ざらし覚悟の決死の旅もようやく終わった。ポストフェストーム(祭りの後症候群)か、何もする気がしない。旅衣さえ洗濯もせずにそのまま放置しているのである。
芭蕉にとって収穫の多かった最高に満足のいく旅であった。それだけに快い虚脱感に包まれていたのである。
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