芭蕉db

桐葉宛書簡

(元禄2年2月15日 芭蕉46歳)

書簡集年表Who'sWho/basho


御約束之短尺十六枚、唐帋に書候物三枚、可然御見分被遣可下候*。今少も相調進じ度候へ共、何やらかやら事繁く御無沙汰に罷成候間、先々あらましにて進じ候*。源七*も此程は書兼候。漸壱枚相調候。是は又重而相調可申候。
一、御堅固に被御座候哉。御子達竝御家来八十*など御無事候にやと存候。拙者三月節句過早々、松島の朧月見にとおもひ立候。白川*・塩竃の桜、御浦やましかるべく候*。欄木良医師一伝奉頼候*。仙台より北陸道・みのへ出申候而、草臥申候はゞ又其元へ立寄申事も可有御座候*。もはや其元より御状被遣まじく候*
   二月十五日                  はせを
桐葉子雅丈

かげろふの我が肩に立帋子哉

紅梅や見ぬ恋作る玉すだれ

尚々大田公・工山丈御次手之刻奉頼候*。大田氏御なつかしく奉存候。

 『奥の細道』出発直前、熱田の門人桐葉に宛てた書簡である。旅への出発を前にして桐葉から依頼されていた江戸宗匠達の短尺を送った便に貼付したものである。