芭蕉db

杉山杉風宛書簡

(元禄5年2月7日 芭蕉49歳)

書簡集年表Who'sWho/basho


 二月七日

昨夜は御見舞申候而、御痛之事共直々に御物語承、先案(安)堵致候*
一、此書状、加州金沢へ不叶用事申遣し候*。何とぞ被御念、上包貴様御名を御書被成候而*、御懇意之方へ御頼被遣、返事参候様に奉頼候*。御家中の風俗、届状不届候よし兼而承候間*、貴様上包に被成候而、成程慥に奉頼候*。少々急候間、能様に被仰遣下候*
且又、鶯の句致候。発句も延引可致と存候へ共、与風所望に逢ひ候而如此申候*

鶯や餅に糞する縁の先

日比工夫之處に而御座候*
  杉風様                    はせを

 昨日、病気見舞をしたばかり杉風宛に書いた書簡。金沢の誰かに至急の手紙を出す必要があって、その飛脚便を杉風に依頼している。しかも、手紙の上包みは杉風のものとして欲しいと頼んでいる不可解な内容。末尾の句は、「軽み」の実践句で、芭蕉自身期するものがあったようである。