芭蕉db

鶯や餅に糞する縁の先

(杉風宛真蹟書簡)

(うぐいすや もちにふんする えんのさき)

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 元禄5年、49歳。江戸での作。「軽み」の代表作の一つ。

鶯や餅に糞する縁の先

 元禄5年2月7日杉風宛書簡では、この句を書簡で紹介し、「日比工夫之處に而御座候」と追記しているところから余程自信のあったものと思われる。
 ところでこの餅は、言うまでもなく正月の餅だが、立春近くの餅は黴やすく、ために古来、縁側などで天日に干してカビを取る習慣があった。うぐいすは陽だまりの縁側にきてついでにひとつ落としていったのであろう。古来、「糞」が文学に取り上げられることなど無かったであろうに、芭蕉にかかるとこのように愛らしいものになる。