三文字屋便の御芳翰：三文字屋は、飛脚。今日の宅急便。飛脚が届けた去来からの手紙。

江戸・大津の状ども：江戸や大津から去来気付で届いた手紙を飛脚に持たせて寄越したのであろう。このことから、芭蕉は上野に来る以前に去来亭にいたらしいことが分かる。

無異に：格別変ったこともなく、生活している、の意。

素牛：別号維然。Who'sWho参照

丈草：Who'sWho参照

ここもと：伊賀上野。

迷惑いたし候：困り果てています、の意。

脇二つ致し候：「脇」は連句の2句目。「第三」といえば第三句目。

「鶴」は、常体の気色に落ち申すべく候や：「常体」は、ありふれたの意。「鶴」の句は、ありきたりの句になってしまいましたようですね、の意。

つひに一左右これ無く：大坂からは音信不通だと言って苦情を述べている。この大坂は 洒堂などを指している。

おとなしからず：尋常ではない、穏当ではないなど、の意。そう思って最近になって 洒堂に手紙を出したと言うのである。

車要：Who'sWho参照。 洒堂に出した手紙に車要が応じたのは、当時大坂蕉門の内部に確執が生じていたためらしい。

一円：全く、の意。

九月の御神事：伊勢神宮の新穀感謝の神事。この神事を見ながら素牛を訪問するかもしれないと言いながら、結局芭蕉は参宮していない。

国司帰城：上野藩主藤堂高久が、帰藩していた。そのため何かと騒々しかったのであろう。

高橋条助殿：曲水の弟で俳号怒誰＜どすい＞。膳所藩士。その怒誰が、京都に行ったおり去来と会って語り合ったと、去来の前便にあったのだろう。

御無心申し進じ申すべく候：また、江戸への手紙を出してもらうことになるであろう、の意。当時の飛脚便は高額であったので、去来のような金持ちに依頼せざるを得なかったのである。