芭蕉db

知足宛書簡

(貞亨3年10月29日 芭蕉43歳)

書簡集年表Who'sWho/basho


先日糀町何某殿御上り之節、短尺少進之*。御一覧可成候。又此度宗匠共ノヲ進之候。御受取可成候。
愈御堅固被御座候哉。御懐布奉存候*。拙者も当年上京可致候へ共、もはや寒気に移候故思ひ留り候*。来年はかならず上り候而、可御意候。互に露命頼計に御座候*
御連衆、尤如風貴僧、可然御心得奉頼候*。当春、道心両僧*、御厚志之段、毎々申被出、於拙者過分至極奉存候*。重而委曲可御意*。以上 頓首
   十月二十九日            芭蕉桃青
寂照叟
 人々御中

 前便以来知足から頼まれていた江戸の他流派の俳諧師達の短冊の一部が出来上がり、それを送付したことの報せ。また、かねて伝えてあった上洛のことが不発に終ったが、来年は実行すると書いている。全体、知足への深い感謝の念がこめられているが、これからも『野ざらし紀行』の途次名古屋で、知足や如風に世話になったことが想像できる。