芭蕉db
   曲水亭に遊ぶとて、「田家」とい
   へる題を置きて

飯あふぐ嬶が馳走や夕涼み

(笈日記)

(めしあふぐ かかがちそうや ゆうすずみ)

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 元禄7年夏、題詠の句。夏の夜や崩れて明けし冷し物の句と並んで大津の曲水亭にて。

飯あふぐ嬶が馳走や夕涼み

 あたたかい炊き立てのご飯をお鉢にでも移しているのか、主婦が台所で夕餉の準備をしている。亭主は縁側で夕涼み。「飯あふぐ」は、熱いご飯に風をやって煽ぐこと。「嬶」のような日常語を入れ、何の変哲も無い庶民の日常を切り取った「軽み」の作。自然なまなざしが生きる佳作である。