芭蕉db

行く秋や身に引きまとふ三布蒲団

(韻塞)

(ゆくあきや みにひきまとう みのぶとん)

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 貞亨5年秋。『更科紀行』などの旅を終えて江戸深川に帰って。

行く秋や身に引きまとふ三布蒲団

 三布布団とは、三幅の布団のこと。一幅という単位は、布幅の単位で約36センチ。並幅などとも言う。その倍を二布<ふたの>、4倍を四布<よの>などといった。庶民の布団の場合、敷布団は三布が最低であったようだから、掛け布団はそれより幅を広く取り四布、五布とする。この句の文脈からして掛け布団を身に引きまとったのであろうから三布はせまい。晩秋の寒さの中に、貧困と寂寥が合体して到来する。