芭蕉db

宇知山や外様しらずの花盛り

(大和順礼)

伊賀上野住 宗房

(うちやまや とざましらずの はなざかり)

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 寛文10年、27歳の若い作。伊賀上野時代の作で、この頃、大和を旅したが、その時の経験によった。この年、このほかに1句だけ記録されている。

宇知山や外様しらずの花盛り

 ここ宇知山は文字どおり内山で門外不出の秘法を行っている。したがってよそ者には中の事は窺い知ることができない。それゆえ山内で今が花の満開だなどということも分からない。
 宇知山は大和の国の永久寺のこと。真言密教の寺で、南北朝時代に後醍醐天皇が笠置城での敗北の後ここに拠ったことで有名。宇知と内をかけただけの単純な仕掛け。


奈良県天理市 内山永久寺跡(牛久市森田武さん撮影)