芭蕉db

五月雨も瀬踏み尋ねぬ見馴河

(大和順礼)

 

(さみだれも せぶみたずねぬ みなれがわ)

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 寛文10年、27歳の若い作。伊賀上野時代の作。このほかに1句だけ記録されている。『愚管抄』の作者慈円の歌「五月雨の日をふるままに水馴川水馴れし瀬々も面変りつつ」から取ったもので嘱目ではない。

五月雨も瀬踏み尋ねぬ見馴河

 五月雨で増水した水馴川は、どこが瀬だか岸だか分からない。よく見れば当の五月雨の雨も瀬踏みをしながら降っているようだ。水馴川には見慣れた川の意をこめ、五月雨を擬人化し、慈円の歌をパロディー化したもの。水馴川は奈良にある川 。


上野市岩倉岩倉峡にて

 「五月雨の・・・」の句碑をやっと見つけ、撮影を終わった安心からか、撮影現場に半年かけて調査した貴重な資料を置き忘れてしまいました。そのうえ、狭い道で思い切り岩と力くらべ、車は満身創痍です。その後は無事牛久に帰れましたが・・・。家内曰く「もっと壊れれば、新車に買い換えるのに」。「ムム・・・」(写真と文:牛久市森田武さん)