芭蕉db
   刈葱は木賊に萎れ、芋の葉は蓮に
   破らる

やまぶきの露菜の花のかこち顔なるや

(真蹟懐紙)

(やまぶきのつゆ なのはなのかこち かおなるや)

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 延宝9年(天和元年)、芭蕉38歳の作。この年16句が記録されている。前詞は、<かりぎはとくさにしおれ、いものはははすにやぶらる>と読む。刈葱は夏のネギ、トクサに似ているが木賊のほうが風情があるとされ、芋の葉は蓮の葉に人気を譲ってやっぱり不満をかこっているはずだというのである。

やまぶきの露菜の花のかこち顔なるや

 山吹の露は古来人口に膾炙してきたが、菜の花の露とは言われない。だから菜の花は不満をかこつことであろう。
 まことにどうでもよいことを詠んだものである。