芭蕉db

露凍てて筆に汲み干す清水哉

(三つの顔)

(つゆいてて ふでにくみほす しみずかな)

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 貞亨4年冬。『笈の小文』の旅の最中、名古屋昌圭亭での句会の発句。「凍て解けて筆に汲み干す清水哉」とあるいは初案または決定稿の関係かもしれないが、作句場所が異なるので一応別としておく。句意は同じと見てよい。ただ、「凍て解けて筆に汲み干す清水哉」が吉野のとくとくの清水を前にして詠んだこととして伝えられているのに対し、この句はそれが提示されず一般的な 水源と寒さを表現しているのが違うと言えば違うのである。

露凍てて筆に汲み干す清水哉

 露が凍って、それを硯にとろうとしてもほんの一筆分の水しかもはやない。