芭蕉db

見るに我も折れるばかりぞ女郎花

(続連珠)

(みるにがも おれるばかりぞ おみなえし)

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 寛文年間の作。芭蕉、18歳から29歳。伊賀上野から江戸移住初期の作だが作句年詳細不明のもの10句
 

見るに我も折れるばかりぞ女郎花

 オミナエシの花は、見ているだけでつくづく魅了されてしまう。わたしも折れそうだというのだろうか? 女郎という花の陰に伏せられた名前が主題であるが、作句動機は、僧正遍照の歌「名にめでて折れるばかりぞ女郎花われ落ちにきと人に語るな」のパロディー化が主題なのである。貞門風の空疎な句。
 なお、この時代の「我を折る」のは現代のように自己主張をしないの意ではなく、「まいった、負けた、魅惑された、感心した」のような文字どおりの意で使われていた。