芭蕉db

たかうなや雫もよよの篠の露

(続連珠)

(たこうなや しずくもよよの ささのつゆ)

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 寛文年間の作。芭蕉、18歳から29歳。伊賀上野から江戸移住初期の作だが作句年詳細不明のもの10句
 『源氏物語』「横笛の巻」に、「御歯のおひいづるに、食ひあてむとて、たかうなをつと握りもちて、雫もよよと食ひぬらし給へば」とあるから取った。

たかうなや雫もよよの篠の露

 「たかうな」は筍のこと。タケノコは、竹の露を夜々世々受けて成長したものに違いない。よよは源氏物語ではよだれの垂れる状態を言い、ここでは「夜々」「世々」と変形して使う。こういう高等な知的な言い回しこそ貞門風俳諧の真骨頂であった。