芭蕉db

一とせに一度摘まるる薺かな

(泊船集)

(ひととせに いちどつまるる なずなかな)

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 元禄7年1月7日、七草粥の朝。


一とせに一度摘まるる薺かな

 ナズナは春の七草のペンペン草。「誰々の歩いた後にはぺんぺん草も生えない」などと悪口をつくときに使われる強い生命力の象徴。他の菜であれば何時と日が定まっているわけでもなく摘み取られるが、この薺だけは一年に一度この朝七草粥として食卓に上る。
 春の到来とナズナへの愛惜を一句にまとめた嘱目の句。
 なお、芭蕉にはナズナに関してほかに次のような句がある。

四方に打つ薺もしどろもどろ哉

古畑やなづな摘みゆく男ども

よく見れば薺花咲く垣根かな