芭蕉db

よく見れば薺花咲く垣根かな

(続虚栗)

(よくみれば なずなはなさく かきねかな)

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 貞亨3年、44歳。

よく見れば薺花咲く垣根かな

 春の七草であるナズナ(ペンペン草)の花はめだたぬちっぽけな花である。だからよく見ないと目にはとまらない。垣根の陽だまりに可憐に咲いている。詩人の目は これをしっかり見ている。進境著しいこの時期を代表する佳作だが、「よく」見なければならないところに未熟さを残した作品でもある。中国の詩人程明道の「万物静観すれば皆自得す」がヒントになっている。

 なお、ナズナに関しては他にも、「四方に打つ薺もしどろもどろ哉」、「一とせに一度摘まるる薺かな古畑やなづな摘みゆく男ども」などがある。


上野市西日南町、土芳の蓑虫庵にある句碑(森田武さん撮影)