芭蕉db
   加賀山中、挑妖に名をつけ
   給ひて

桃の木のその葉散らすな秋の風

(泊船集)

(もものきの そのはちらすな あきのかぜ)

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 元禄2年7月27日以降。『奥の細道』旅中、加賀山中温泉和泉屋に投宿。芭蕉一行はここで旅の疲れを取った。ここに8泊もしている。このとき、和泉屋の主人は久米之助といい14歳。このとき久米之助は蕉門に入門して挑妖<とうよう>という俳名をつけてもらった。

桃の木のその葉散らすな秋の風

 挑妖にペンネームと共に贈った一句。桃の木は挑妖のこと。桃の木の葉を吹き飛ばさないでくれ秋風よ、という意味から、転じて秋風にも飛ばされないように修練しろよ久米之助と諭している句なのであろう。