芭蕉db
   湯尾

月に名を包みかねてや痘瘡の神

(芭蕉翁一夜十五句)

(つきになを つつみかねてや いものかみ)

句集へ 年表へ Who'sWhoへ


 元禄2年8月15日。『奥の細道』旅中、敦賀での名月の晩。湯尾峠。ここでは茶店で痘瘡除けのお土産があった。十五夜の月は、ちょうど里芋が収穫の時期でもあるから古来芋を食う風習があって、別名「芋の月」などとも言う。疱瘡は和語で「いも」という。

月に名を包みかねてや痘瘡の神

  湯尾峠では疱瘡予防の神様がいる。疱瘡の神というあまり人に好かれない名前だけに普段はひっそりとしているのであろうが、今宵は八月十五夜の月、別名「疱瘡<=芋=いも>の月」というくらいだから、その名前も自然と表に出て隠しきれなくなるのであろう。