芭蕉db

愚に暗く茨を掴む蛍かな

(真蹟短冊)

(ぐにくらく いばらをつかむ ほたるかな)

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 延宝9年(天和元年)、芭蕉38歳の作。この年16句が記録されている。

愚に暗く茨を掴む蛍かな

 「愚に暗く」とは己の愚かなことが分からないことをいう。まして暗闇であってみれば盲目の身の辺りの様子がわかるわけがない。蛍を捕るつもりが傍らにあったバラの木をつかんでしまったのである。
 人間の愚かさを寓意した句。