芭蕉db

美しきその姫瓜や后ざね

(山下水)

伊賀住 宗房

(うつくしき そのひめうりや きさきざね)

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 寛文12年、29歳。伊賀上野を後にしてこの年から江戸に定住。この年は、3作現存する。

美しきその姫瓜や后ざね

 姫瓜は真桑瓜の一種。この時代、六月になると女子は姫瓜に墨やおしろいで人の顔を描いて、水引で茎をしばってぶら下げて玩具にする風習があった。そういう中に、文字通りうりざね顔のとても美人の相をしたものがある。こういうのは内裏雛の后になる資格があるというのであろう。
 『枕草子』144段に「愛<うつく>しきもの。瓜に描きたる乳児<ちご>の顔」とあるから取ったのであろう。季題は瓜から夏。