芭蕉db

橋桁の忍は月の名残り哉

(己が光)

(はしげたの しのぶはつきの なごりかな)

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 元禄4年9月13日、十三夜の月見の折。この日、芭蕉は車要之道と石山寺に参詣している。この10余日後に江戸へ下るので送別の気分もあったであろう。この橋がどこの橋かは分からないが、瀬田の唐橋あたりが想像できる。
 なお、この句に関連するものとして、「名月はふたつ過ぎても瀬田の月」がある。

橋桁の忍は月の名残り哉

 この秋最後の十三夜の月。橋桁に忍が生えている。それが月明りに照らされて秋の名残を偲んでいるようだ。『奥の細道』以来上方にあった日々の思い出を偲びながら私は間もなく江戸に発つ。