芭蕉db
伊勢の国中村といふ所にて
秋の風伊勢の墓原なほ凄し
(花摘)
(あきのかぜ いせのはかはら なおすごし)
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元禄2年9月。『奥の細道』を終えて伊賀に帰る道すがら伊勢中村、荒木田神主墓所にて。去来はその著『
去来抄
』において、この句を「不易」の句の代表として上げている。
秋の風伊勢の墓原なほ凄し
西行の歌「
吹きわたす風にあはれをひとしめていづくもすごき秋の夕暮
」(吹き渡る風は何処もかしこも同じようにあわれをもよおす秋の夕暮だ、の意)がある。一句はこれを典拠として、伊勢の墓原はなお一段ともののあわれが「すごい」というのである。
伊勢市市之木一丁目常明寺境内にある句碑(牛久市森田武さん撮影)