芭蕉db

月か花か問へど四睡の鼾哉

(真蹟画賛)

(つきかはなか とえどしすいの いびきかな)

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 元禄2年6月4日ごろ。『奥の細道』旅中、羽黒山での天宥筆による「四睡図」への画賛。四睡とは、豊干<ぶかん>禅師・寒山<かんざん>・拾得<じっとく>に虎の4人が気持ちよさそうに眠っている図。
 なお、天宥については「その玉や羽黒にかへす法の月」を参照。

月か花か問へど四睡が鼾哉

 月か花かとさまざまに禅的思考をしてみるが、見れば豊干も寒山も拾得も虎と一緒に高いびきだ。無念の一生を終えたといわれているこの画の作者天宥法印の心もまたこういう煩わされない澄んだものであったのだろう。