芭蕉db

目にかかる時やことさら五月富士

(芭蕉翁行状記)

(めにかかる ときやことさら さつきふじ)

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 元禄6年5月。最後の富士。

目にかかる時やことさら五月富士

 最後の上方帰郷の際、箱根を越えた辺り、ちょうど富士山の全貌が見えてきた。俳聖の最期を気遣ったか、富士は五月晴れとなって、その姿を「ことさら」に美しく 現してくれたのである。
 曾良宛書簡では、箱根は雨、三島への下りも難儀したことが報告されているので、この「五月富士」は心象風景としての富士か、または雨の合間の瞬間の眺望だった のかもしれない。


東京渋谷区御嶽神社にある句碑(牛久市森田武さん提供)。