芭蕉db
   茅舍買

氷苦く偃鼠が喉をうるほせり

(虚栗)

(こおりにがく えんそがのどを うるおせり)

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 延宝9年(天和元年)、芭蕉38歳の作。この年16句が記録されている。芭蕉庵での冬の日。

氷苦く偃鼠が喉をうるほせり

 貧困の歌。溜めおいた水を飲もうとしたらすっかり凍りついている。そのかけらを口に含んでみたが、まるでドブネズミが喉を潤しているような気分だ。
 この時代、江戸深川一帯では良質の井戸水はなく、貧しい人々は水売りの水を買って飲んでいたので、水瓶の水は冬には凍りついていたにちがいない。