芭蕉db
   三河の国蓬莱寺に詣づ。道のほど
   より例の病起こりて、麓の宿に一夜
   を明かすとて

夜着ひとつ祈り出して旅寝かな

(真蹟懐紙)

(よぎひとつ いのりいだして たびねかな)

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 元禄4年10月末。最後の東下の旅の途中、蓬莱山を詣でたとき持病の胃痛発作に悩まされた。このとき白雪が同行しており、寺に依頼してカイマキを借り受けた。これで温まったのがよかったのか翌朝は回復した。寺への謝意を込めて作句。
 蓬莱寺は、愛知県南設楽郡蓬莱町にある雲厳山蓬莱寺。徳川幕府の庇護を受けた。


鳳来寺


夜着ひとつ祈り出して旅寝かな

 旅の途中で病気になったが、蓬莱寺の霊験あらたかなことから、祈りが通じて夜具が現れ、こうして再び元気を取り戻しました。
 なお、ここでは「
木枯に岩吹きとがる杉間かな」もある。


設楽郡鳳来町山麓の宿跡(牛久市森田武さん撮影)