芭蕉db

魚鳥の心は知らず年忘れ

(流川集)

(うおとりの こころはしらず としわすれ)

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 元禄4年師走。山口素堂宅で支考、嵐蘭らと忘年会。

魚鳥の心は知らず年忘れ

 『方丈記』に作意は依存している。「魚は水に飽かず、魚にあらざればその心を知らず。鳥は林をねがふ。鳥にあらざれば其心を知らず。」つまり、『方丈記』の作者は、一人庵居こそが何より心が静まる、それは魚が水に住み、鳥が林に住んでいるのと同じことだ、というのである。そうかもしれないが、自分達は親しい者達相集いてこうして楽しい年忘れの会を催しているが、これもまた良いものだ、というのである。一座の仲間への挨拶吟でもある。
 芭蕉は、鴨長明や兼好法師の陰士生活には深く共鳴しているのだが、それを俗化することで俳諧化したのである。
なお、『陸奥鵆』 ・『泊船集』では、下五が「年の暮」とある(下の句碑写真参照)が杜撰である。


東京都練馬区中村南蔵院(牛久市森田武さん提供)