芭蕉db

琵琶行の夜や三味線の音霰

(後の旅)

(びわこうの よやしゃみせんの おとあられ)


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 貞亨元年。『野ざらし紀行』の旅の途次、大垣の如行宅にて会が催され、そのアトラクションとして如行は座頭を招き一同に三味線の演奏を聞かせた。

琵琶行の夜や三味線の音霰

 座頭の三味線を聞いていると、戸外のあられの音と和して、まるで白楽天の「琵琶行」の詩を思い出しました。
ところで白楽天の「琵琶行」は白楽天が潯陽江<じんようこう>を渡る時、船中で琵琶の演奏を聴いて感動して書いた旅愁の詩。琵琶という由緒正しい古楽器を鄙で聞く三味線という大衆楽器に対比させたところが俳諧なのである。
 作句動機は異なるが類似の句に「雑水に琵琶聴く軒の霰かな」がある。