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芭蕉db
鶯宿る竹の内に梅やや散りて桜
咲くより、五月雨の空うち晴れて、
早苗を取れと啼く鳥の声、夕暮る
る里の細道、肥えたる牛にまたが
りて、きせるを取りて蛍を招き、
瓢がもとは暑しなんどとて、月を
洗へる盃の曲、げに一瓢千金の思
ひ出
(真蹟懐紙写)
(たのしさや あおたにすずむ みずのおと)
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元禄元年夏。『笈の小文』の途中、貞亨5年4月12日、大和国誉田八幡<こんだはちまん>にて。「里人は稲に歌詠む都かな」
も同じ日の作
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楽しさや青田に涼む水の音
詞書の大袈裟なわりには句は単純。五月雨の季節に入って周囲の山々ではホトトギスが盛んに啼いている。古来ホトトギスは田植えを知らせる農耕の鳥の意がある。梅雨の中休みの夜、夕顔の棚の下は暑いというので、涼を求めて田にやってくる。キセルを出してタバコを吸うとその光は蛍の明滅のよう。腰の瓢箪から酒をくみ出して盃になみなみと注いでみるとそこに月が映っている。青田の水の音を聞きながら風流な夕涼みとは相成った、というのである。
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