S38
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でつちが荷ふ水こぼしけり 凡兆 初めは糞なり。凡兆曰、尿糞の事申べきか。先師曰、嫌べからず。されど百韻といふとも二句に過ぐべからず。一句なくてもよからん。凡兆水に改ム*。
でつちが荷ふ水こぼしけり 凡兆
初めは糞なり。凡兆曰、尿糞の事申べきか。先師曰、嫌べからず。されど百韻といふとも二句に過ぐべからず。一句なくてもよからん。凡兆水に改ム*。
この句は最初は「でっちがになう糞こぼしけり」だったらしい。糞尿のことが俳諧に出てくることは嫌ってはいけないが、百韻俳諧でも2句を越えてはならないと言われたので凡兆はこの句を「水」に取り替えた。芭蕉自身にも「蚤虱馬の尿する枕もと」「鶯や餅に糞する縁の先」などがある。