S37
目次へ
弓張の角さし出す月の雲 去來 去來問曰、此句も手帳なるべきや。先師曰、手帳ならず。雲も角も弓張月もいはねバ一句きこえず。
弓張の角さし出す月の雲 去來
去來問曰、此句も手帳なるべきや。先師曰、手帳ならず。雲も角も弓張月もいはねバ一句きこえず。
弓張の角さし出す月の雲:弓を張ったような上限または下限の月、その角張ったところがいま雲間から出てこようとしている一瞬をとらえた句。瞬間を捉えているので予め句会の前に準備しておくようなものではない。だから、芭蕉はこれは「手帳」句ではないと認めた。弟子の緊張が伝わってきそうな師弟関係。