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舟に煩ふ西國のむま

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舟に煩ふ西國のむま            彦根の句

許六こゝろ見の點を乞ける時、此句を長をかけたり*。先師に窺ふに、先師曰、いまハ手帳らしき句も嫌ひ侍る。是等の句手帳也*。長あるべからずと也。曾て上京の時問曰 、此句いかなる處手帳に侍るや。先師曰、船の中にて馬の煩ふ事ハ謂ふべし。西國の馬とまでハ能こしらへたる物也となん*