S35
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梅にすゞめの枝の百なり 去來 此ハ歳旦のわき也*。先師深川に聞て曰、此梅ハ二月の氣色也。去來いかにおもひ誤りて*、歳旦の脇にハ用ひけるトなん。
梅にすゞめの枝の百なり 去來
此ハ歳旦のわき也*。先師深川に聞て曰、此梅ハ二月の氣色也。去來いかにおもひ誤りて*、歳旦の脇にハ用ひけるトなん。
此ハ歳旦のわき也:これは歳旦帳の脇句。歳旦句は、年始に発表するために年末に出版したのでその作句の準備は早い時期はずれに行うので、ここでの話題のような季節はずれが生じやすかった。
去來いかにおもひ誤りて:梅に雀が鈴なりにとまっているという光景は、梅も満開を暗示しているのであろうから、正月ではなく、もっと遅く如月のはずで、去来の季節感は間違っている。