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つたの葉――――――――

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つたの葉――――――――         尾張の句

此ほ句ハ忘れたり。つたの葉の、谷風に一すじ峯迄裏吹きかへさるゝと云句なるよし。予先師に此句を語る。先師曰、ほ句ハかくの如く、くまぐま迄謂つくす物にあらずト也*。支考傍に聞て大ひに感驚し、初てほ句トいふ物をしり侍ると、この比物語り有り*。予ハ其時なをざりに聞なしけるにや、あとかたもなくうち忘れ侍る。いと本意なし。