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嵐山猿のつらうつ栗のいが
花ちりて二日おられぬ野原哉
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嵐山猿のつらうつ栗のいが 小五郎
花ちりて二日おられぬ野原哉
正秀曰、嵐山ハ少年の句にして、しかも風情有。落花ハわる功の入たる處見えて、少年の句と謂がたし*。去來曰、二日おられぬといへるあたり、他流の悦ぶ處にして、蕉門の大ひに嫌ふ事也* 。
- 正秀曰、嵐山ハ少年の句にして、しかも風情有。落花ハわる功の入たる處見えて、少年の句と謂がたし
:正秀の評価で、「嵐山」の句は少年の句であるが、風情がある。しかし、「花ちりて」の句には悪い技巧が入っていて少年とは言い難い」。これは『有磯海』(浪化編)所収句である。「落花」の句も少年という。
- 去來曰、二日おられぬといへるあたり、他流の悦ぶ處にして、蕉門の大ひに嫌ふ事也:去来の評価、『二日おられぬ』というところは、他流はいざ知らず蕉風では大いに嫌うところだ。浪化ともあろう者が何をしているのだ?」。花が散ったからといって、そこに二日とは居られないという無風流が許せないのであろう。花は散る時も散った後もというのでなくてはいけない。他流もそうだろうが??