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鶯の舌に乗せてや花の露
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鶯の舌に乗せてや花の露
半残
去來曰、乗
スるやといハゞ風情あらじ。乗りけりと謂ハゞ句なるまじ。てやの一字千金。半残ハ實に手だれ也*。丈艸曰、てやといへるあたり、上手のこま廻しを見るがごとし
*。
- 去來曰、乗
スるやといハゞ風情あらじ。乗りけりと謂ハゞ句なるまじ。てやの一字千金。半残ハ實に手だれ也:「乘するや」と言ってしまうと風情がなくなり、「乗りけり」といえば句にはならない。「てや」というのが値千金の一字だ。半残は名人だ。
- 丈艸曰、てやといへるあたり、上手のこま廻しを見るがごとし:「てや」というところは、独楽の名人のコマまわしを見ているような気分になるね、と丈草が言った。