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春の野をたゞ一のミや雉子の聲
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春の野をたゞ一のミや雉子の聲 野明
初ハ春風や廣野にうてぬ雉子の聲
也。去來曰、うてるうてぬとあたり相てやかまし。廣キ野をたゞ一のみやといハん。丈艸曰、廣の字猶いやし。春の野ト有らんか。去來心服ス。
- 春の野をたゞ一のミや雉子の聲:野明の句。春の野を一のみにしてしまうような大きな声で雉子が啼いた。初案は「春風や廣野にうてぬ雉子の聲」だった。
- 去來曰、うてるうてぬとあたり相てやかまし。廣キ野をたゞ一のみやといハん:<きょらいいわく、うてる・・あいてやかまし。ひろきのを・・いわん>。「廣
き野をただひとのみや雉子の聲」としてはどうか?
- 丈艸曰、廣の字猶いやし。春の野ト有らんか。去來心服ス:これにたいして、丈草が「広」は上品でない。ただ「春の野」でよい、と言ったので、私は丈草の意見に大いに賛成した。