芭蕉db

奥の細道

(修験光明寺 元禄2年4月9日)


 修験光明寺と云有*。そこにまねかれて、行者堂を拝す。

夏山に足駄を拝む首途哉

(なつやまに あしだをおがむ かどでかな)


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表紙 年表 俳諧書留


 浄法寺を訪れたのが4月4日、次ぎの運岩寺を訪ねたのは4月5日であったから、ここでは日付順序が違って9日になっている。9日には、昼過ぎから光明寺に招かれてよるまでそこに滞在している。4月6日より愈々梅雨のまえぶれで連日雨に降られ、この日も雨だった。

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夏山に足駄を拝む首途 哉

光明寺には役の行者のものと伝えられる下駄が安置されている。その下駄を拝むことで遥かな奥州への旅の無事をも祈っている。ここ那須野を過ぎればいよいよみちのくに入る。
 なお、『曾良書留』には、
   黒羽、光明寺行者堂

夏山や首途を拝む高足駄

とある。これが初案である。


修験光明寺の跡は句碑「
夏山に足駄を拝む首途かな」だけが残る民家になっている。