俳諧書留

修験光明寺

目次

奥の細道修験光明寺へ 殺生石へ


しら川の関やいづこと思ふにも、先、秋風の心にうごきて、苗みどりにむぎあからみて、粒々にからきめをする賎がしわざもめにちかく,すべて春秋のあはれ・月雪のながめより、この時はやゝ卯月のはじめになん侍れば、百景一ツをだに見ことあたはず。たゞ声をのみて、黙して筆を捨るのみなりけらし。

田や麦や中にも夏(の)時鳥

   元禄二年孟夏七日  芭蕉桃青

    黒羽光明寺行者堂

夏山や首途を拝む高あしだ   翁

    

汗の香に衣ふるはん行者堂

 ばせをに鶴絵がけるに

鶴鳴や其声に芭蕉やれぬべし   翁

鮎の子の何を行衛にのぼり船

      高久角左衛門に授ル