牡丹のよろこび、おほかたならず:牡丹を贈られた藤堂新七郎良長は大変喜んで、芭蕉から去来によく礼を言うようにと言っていた、という。
伊勢より支考参り候を相手に:『続猿蓑』は、江戸で沾圃が編集しているが、大坂では芭蕉が支考と一緒に編纂していた。
『浪化集』:去来が仲立ちしている『有磯海』のこと。浪化の蕉門入門記念出版だったことからこう言ったのである。その浪化から何も連絡が無いことを案じている。
手初心に候へども、臥高にさせ申すべく候や:あまり字は上手ではないが、臥高に清書をやらせようか、の意。臥高は近江蕉門の門人。
すなはち板のこと申しつかはし候あひだ:早急に出版について手配しますから、江戸の沾圃に連絡を取って欲しい、と言うのである。沾圃が江戸で『続猿蓑』の編集を行っていた。
ここもと様子、定めがたき体に候:ここ大坂滞在の予定は不定で、仕事が終り次第出て行くかもしれない、という。そのために、路銀が必要になるので工面して欲しいと言うのである。
返進いたすこと:「返進」はお金の返却。借りたお金はすぐに返すかもしれないし、遅くなるかもしれない。また全く返さないかもしれないという、いい加減なことを言っている。去来と芭蕉の間の金銭関係が垣間みえる。