芭蕉db

去来宛書簡

(元禄4年9月9日 芭蕉48歳)

書簡集年表Who'sWho/basho


先日ほのかに申談候通り、追付旅立、京よりすぐにと存候*。たれにもしらせず候。貴様御存知なき分可成候*。用意之事内々に頼存候。
一、此状史邦へ早々被遣可下候*。いがより牡丹取に参候哉*。貴様御方じゆけい花*も何とぞ遣し度候間、史邦へ被仰合*。 以上
    重陽日*
  去来様
 尚尚漢和一折珎敷令感候*

 義仲寺無名庵から京都の去来宛に書いた書簡。『奥の細道』以来長かった上方を後にして江戸に下る行動に入った時期の書簡である。実際には、これから江戸へ下る手筈で京に上り、再度またここに戻ってから江戸に向かうことになる のだが、出発を誰にも教えないという秘密主義だが、厳しい姿勢が注目される。

 本状では、 去来と史邦が、伊賀藤堂新七郎家に牡丹を贈呈する仲立ちについて述べ、特に「じゅけい」という種類も加えよと指示している。